SESの闇って、何?

投稿者: | 2021年2月19日

Youtubeでも「SES 客先常駐の闇」という類の動画が増えてきました。その手のものには、漫画動画もありますし、古くからエンジニアのキャリアについて解説している人もいらっしゃいます。あるいは最近は駆け出しエンジニアの方が注意喚起しているものも見かけます。

それら動画の中で言及されていることは、おそらく本当にあった事例なのだと思います。しかしながら厳密な表現まではされていないこともあるため、業界に詳しくない人には正しい理解に至らない可能性もあるなと感じます。

今回は典型的な「SES客先常駐の闇」について書いてみます。

この会社は何企業?

SESの闇の前に、SESや、請負、自社サービス、客先常駐、自社開発といった言葉がありますから、これらについて考えてみます。

私が2社目に所属していた企業は下記のような業務をやっていました。果たしてこの会社は「何企業」なのでしょうか。

  • その会社のウリは独自のパッケージ製品を開発している。
  • パッケージ開発は自社オフィス内でやっている。
  • パッケージを導入するにあたって、導入企業に対してカスタマイズ開発をすることが往々にしてある。
  • A社に対してはパッケージとカスタマイズ内容を整理する、要件定義中でありSES契約である。作業は客先の情報システム部での作業が多い。
  • B社に対しては大規模なカスタマイズ開発も一服し、開発者2名体制で細々と続いている。契約は請負契約で、自社オフィスで開発している。
  • C社に対しては超大規模なカスタマイズ案件であるのでSES契約であるが、開発は自社オフィスで要件定義を検討し、週1、2回客先で打ち合わせを実施している。仕様変更に伴う諸手続きが発生することも懸念し、開発フェーズ以降もSES契約とした。

自社サービス(=パッケージ製品)を持つ会社なので自社サービス企業とも言えなくはありませんし、SESの契約があるのでSES企業であり、請負開発もしているので請負開発企業でもあるし、自社オフィスで開発しているので自社開発企業ですし、一部は客先に出て作業していますから客先常駐企業です。

案件によるとしか言いようがない

SES契約で自社にオフィスを持っていない企業であれば、絶対に「SES企業で客先常駐企業」になると思いますが、そうでもなければ案件によって、あるいは取引のフェーズによって、さまざまであったりします。

そのため、勝手にSES企業だと決めて嫌だとか、自社サービス企業だから安易に行きたいとか考えると痛い目をみる可能性があります。自社サービスを収益の柱にしている企業かもしれないが、募集しているのはSES客先常駐案件なのかもしれませんよ。

SES契約と請負契約とは?

SES=準委任契約のことです。一番わかりやすいのは請負契約ですが、こちらは約束した成果物を納品し、それを検収してもらうことで代金を受け取ります。対して、SES=準委任契約は、一定時間の労働力提供に対して代金を受け取ります。

あくまで取引として提供するものが何かの違いでしかないので、いざエンジニアとして作業をし始めてしまうと「どっちでも関係ない」ことがほとんどです。何なら、SES契約のほうがリスクが低く、現場のエンジニアにとっては好ましいのではないでしょうか。システムの完成責任がありませんから。

客先常駐、自社開発?

ただの作業場所、ロケーションの話です。請負開発でも客先常駐で作業したり、逆に、SES契約でも自社オフィスでの開発ということもありえます。

客先常駐も相手方、身内側の体制や力関係次第で闇にもなれば、反対に開発がはかどることもあります。

SESは技術が身につかない?

そういう人も多いと思いますが、必ずしも正確な表現ではありません。なぜなら、SESというのはあくまでも契約形態でしかないからです。

事実、私は先の「C社」のように、”自社オフィスで要件定義を検討し、週1、2回客先で打ち合わせを実施している。仕様変更に伴う諸手続きが発生することも懸念し、開発フェーズ以降もSES契約とした。”という足掛け2年半に及ぶ基幹システム更改案件に参画した時には大変貴重な経験をしました。

SES契約でも、エンドユーザの企業に対して直接やり取りをするプライマリで、販売管理システム担当、生産管理システム担当、請求システム担当のような、それなりにまとまった単位を一つ丸ごと担当し、他の開発メンバ仕様調整をしながら開発していると、闇って何?wと一笑に付せるでしょう。

対して、同じSESというくくりでも下記動画で扱っているような、事案もきっとあります。(俺たち天下のゆとりーマンさんは個人的に大好きです。)

正確に言うなら、「契約形態がSESかや、作業場所が客先であるかどうか」が本質ではありません。この動画の中で触れられているようなケースは、

  • 経験値として蓄積がない単純作業ばかりをしている
  • 参画時に身内にできるリーダクラスがいない
  • そもそもド素人

といった不幸が重なっていいるため、ずるずると年月だけを重ねてしまっていることが闇の本質です。

極端かもしれませんが、データ入力10000件の出来高という請負契約なのであれば、「請負」ですが単純作業でしかなく、闇に片足を突っ込んでいます。

重視すべきはどんな案件があるかどうか

会社としてどんな案件があるかどうかはチェックすべきです。例えば、先の「ゆとりーマン」さんの動画のケースにあるような運用作業の一部を準委任で受ける案件ばかりであるのに、開発者志望で就職するのは自らに闇に飛び込んでいるとしか言いようがありません。(もちろんウソをつかれたら仕方ありませんが…)