とある待機のCoboler、そして明日は我が身

投稿者: | 2021年5月3日

COBOLという言語を知っているでしょうか。基本情報技術者試験を受験するために過去問題をやったことがある人ならば、もしかしたら見たことがあるかもしれません。

「COBOL」について、教育機関等における指導言語としての利用の減少、本試験における受験者の選択率の極端な低下により、2019年の秋期試験をもって出題を廃止

https://www.ipa.go.jp/about/press/20190124.html

情報処理技術者試験でも役目を終えたようですね。かつてはホストコンピュータ上での開発でよく使われていたようですが、2000年頃から脱ホストという動きがよくあったそうです。

2010年ごろの話

COBOLというのは一つのプログラミング言語にすぎませんが、「ホスト」というものときってもきれない言語だと思っています。「ホスト」は、「汎用系」とも「メインフレーム」ともいわれていたりします。

そして2010年頃というのは、もうホストからオープン系(≒おおむねUnix、Linux系と言い換えてしまってもだいたいあってると思います)に切り替えが終わっていてもさほど珍しくない時期です。

私が新卒で入社したのは独立系の中堅SIerで、配属された部は「金融系」を相手にしている部署でした。当時の部会などで共有された話を思い返してみますと、その当時の主な顧客は、「証券系」でしたね。ここには協力会社とともに大人数が入っていました。

最初の現場は「とある証券会社」の案件でした。2010年、配属されたときにはすでに、ホストからUnixベースのオープン系への移行も一服していました。主要部分はUnixベースのオープン系で動いていて、さほど主要ではない一部の機能がホスト系に残っている程度の状態でした。そして、2か月程度のスパンで「オープン系に移植→比較テストで差分なし→置き換え…」を繰り返し、少しずつホストも役目を終えていったのでした。

オープン系への切り替えるという話はどうやら2000年代の前半頃から始まっていたようです。ちょうど私が新人だったころはほぼホストのラストイヤーだったのでしょう。

夏~秋頃の部会で、こんな話が出ていたように思います。

  • 「とある証券会社」の案件も残存する機能のリプレースが順調。ほぼ案件がない。
  • 近々「待機」が何人かいる。

待機の人

SESとして客先で作業をしながら準委任契約で売上を上げるという働き方をしていると「待機」という言葉を耳にすることがあります。

「待機」とは、「〇〇さんの契約は来月末まで」という終了が言い渡され、その日までに次の案件が決まらない状態といいます。オブラートに包まずに言えば、「売上を上げずに本社にきて何もしていない」人です。そのような待機が何人も出ていました。

そしてその「待機」している人というのが、40代のベテランが複数人なのです。主要なスキルは「COBOL」であり、証券系や銀行系のシステムにかかわった経験を持っているのだそうです。

とはいえ、「大規模システム」の一部機能の設計や開発をしているにすぎませんから、知識も限定的です。プラスαにはなりますが、絶対的な武器にはなりえません。というか銀行や証券の案件ばかりそうそう転がっているわけがありありません。

そして、我々のような開発者の主要武器であるはずの開発能力でいえば「COBOL」がせいぜいだというのです。本社に待機してやっている勉強が「SQL」だとか「Java」ですからね。世の中はブラウザ上で動かすシステムばかりですから、もはや周回遅れです。

対して、その当時30代後半でバリバリやっている人は、自宅にサーバを立てていたり、COBOLもできるけどVBもCもできるし、Oracleのプラチナまで取っていたり、証券などの業務知識を習得したり、(「ブラウザ三国志」をマクロでやっていたり)で、働き続けられるように勉強を欠かさない人でした。

「Xさん、やめるんですか」と、そのベテランのうちの1人と何となく会話したことがあります。主任だったか、確か役職も持っていたと思うのですがね…。まだ定年までちょうど折り返しを過ぎたかなという年齢ですよね。

どんなところに就職したのか、まではたぶん聞けなかったと思います。

正直運も悪かった

正直2010年、2011年頃というのはタイミングが悪い時期ではあります。リーマンショックが2008年にあってまだ景気が良くないし、2011年には震災が起こってしまいます。

ちょうど上場会社なので、そのころのセグメント別の報告書を見てみました。

主要顧客からの受注減、受注単価の抑制。前年当月期比の売上 59%

とある会社の、とある報告 2010年期

主要顧客からの受注減、受注単価の抑制。前年当月期比の売上 99%

(※補足:つまり09年から4割減った2010年期から回復していないという意味です)

とある会社の、とある報告 2011年期

そしてこの2011年期の中には、「絶対黒字化」とか、「希望退職制度」という文言が出てきています。12年期ではさらに売上が下がっています。

私はもう転職していませんが、13年期には回復して「証券」も活況だったようですね。(安倍総理になってよかったね)

振り返って

40代だったので、おそらく20年くらいは技術者としてやってきたのだろうと思います。おそらくキャリアをスタートした当時はホストコンピュータ上で動くシステムが当たり前で、その上での開発ができれば食っていけていたのだと思います。

ところが、脱ホストという時代がきてしまい、それまでの技術ではパイにありつけず食っていけなくなってしまった。そして早期退職という道を選んだ人がいました。

この人の話ではないですが、この頃に待機になったり新しく面談している40代くらいの人の職務経歴を見ると、キャリアの初期は5年とか10年というスパンで1つの現場であるのに、直近のものになると数か月というスパンで、しかも担当領域が「テスト」になっていくんです。

新人ながらにトラウマもんです。

そして明日は我が身、ですよね。

私のような一介のSEというのは、インフラエンジニアのようなインフラ知識はないし、コンサルタントのような業務知識、法律知識もありません。ただただ漫然とプログラムを書くだけなら、3年目くらいのPGでよいでしょうね。

まだ先は長いので、今後もくいっぱぐれのないよう、時間を見つけては勉強していかなくてはならないのです。